日本初の短編アニメ、制作ウラ話

はじめに

2024年6月、日本で初めて「生成AIを活用した短編アニメーション」が制作された。
その裏には、AI技術を駆使しながら、従来のアニメ制作の概念に挑戦するクリエイターたちのチャレンジがあったことを知ってほしい。

生成AIでアニメを作るという挑戦

私はもともとアニメーション制作とは無縁だった。
しかし、ある日、PONさんに「生成AIでアニメを作りたい、協力してほしい」と声をかけられたことをきっかけに、このプロジェクトに参加することになった。

PONさんが作った絵コンテをもとに、私はStable Diffusionという画像生成AIを使ってキャラクターを制作した。
生成AIでキャラクターを作るのは簡単だったが、難しかったのは、 “ 同じキャラクターを、同じ衣装のまま、異なる表情や姿勢で生成すること ” だった。

この問題を解決するために活用したのが、「LoRA(Low-Rank Adaptation)」という技術だ。
LoRAは、ゲームで言う「カセット」のような役割を果たし、AIに特定のスタイルやキャラクターを覚えさせることができる。
これにより、一貫したデザインのキャラクターを安定して生成することが可能になった。

制作チームの結成と試練

そもそもPONさんと出会ったのは、「オープンイノベーション大学(イノベ大)」という学び放題のコミュニティだった。
イノベ大の中にはいろいろな実践会があるが、あるとき私は動画制作を学ぶ「動画部」に参加した。
たぶん70人くらいのメンバーがいたと思う。

その中で約10人づつのグループに分かれた際、同じ班になり特に親しくなったのが、PONさん、まさやん、まみーの3人だった。

動画部卒業も連絡を取り合う仲になり、PONさんの「生成AIでアニメを作りたい」という呼びかけに応じ、私たちはプロジェクトに参加することになった。

しかし、プロジェクト開始後、まみーと連絡が取れなくなるという事件が発生した。
もともとChatworkやLINE、zoomで連絡を取り合っていたため、まみーへのメッセージに既読がつかなくなり、応答がなくなっても無事を確認する術がなかった。

加えて、AIを活用したポスター制作に対する批判や、AI生成キャラクターを登場させたマクドナルドのCMへの反発など、当時の日本ではAIに対する風当たりが非常に強かった。

私たちは、まみーの無事を祈りながら、失意と逆風の中、「AI制作を大々的に広報せずにアニメを完成させる」という方針を取り、制作を進めていった。

AI活用に対するアニメ業界の反応

2024年6月。
当時、PONさんはアニメ協会の関係者にも声をかけたが、返ってきた反応は冷ややかだったそうだ。
「AIに仕事を奪われる」という恐怖心が根強く、ほとんどの人が否定的だったという。

唯一、PONさんと仕事をしているPONORIのメンバー、NORIさんだけが、AI活用に積極的だった。

結果として、私たちは「動画部」の仲間(PONさん、まさやん、わたし)とNORIさんでアニメ制作をしていくことになった。

生成AIでアニメを作って感じたこと

このプロジェクトを通じて痛感したのは、「AIはツールである」ということだ。
IllustratorやPremiere Proと同じように、生成AIもただのツールに過ぎない。

日本のアニメーターたちは、もっとAIを活用すべきだと私は思う。
さもないと、アニメ業界に思い入れのない私のような人間が、単にAIスキルがあるというだけで制作に関わることになってしまう。

仕事を奪うのはAIにではない。AIを使いこなす人に奪われるのだ。

2025年、AIアニメ映画が公開へ

2025年である今年、生成AIを95%以上活用した長編アニメ映画が公開される予定だというニュースを見た。
素晴らしい試みだと思うし、このようにAI活用が業界に広く受け入れられることを私は願っている。

私たちが制作した日本初の生成AI短編アニメは、AI時代のアニメーション制作の可能性を示す第一歩だった。

そして、この先、AIと人間が共存しながら新たな表現を生み出す未来が訪れることを信じている。

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morimori

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